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ライバルチームと連携して分析を効率化。女子ソフトボールリーグが導入する『League Exchange』の機能とは?

映像分析ツール『Hudl(ハドル)』は、試合や練習動画をアップロードするだけで、24 時間以内にスタッツ集計やタグ付けなど詳細なデータ分析を代行。チェックしたい部分だけを抽出できる便利さもあり、世界中のスポーツチームで映像分析の一翼を担っています。

女子ソフトボールリーグ JD.LEAGUE(JDリーグ)は、複数のチーム間で映像やデータを共有できるプラットフォーム『League Exchange』を導入しています。今回は、『League Exchange』の運用を取りまとめるデンソーブライトペガサスのアナリスト・福島豊司(ふくしま・あつし)氏に、導入の経緯やメリットをお聞きしました。

スポーツ科学の専門家からアナリストへ

ーまずは、福島さんの経歴についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

現在は、JDリーグのデンソーブライトペガサス(以下、デンソー)で、チーフアナリストを務めています。チームには2人のアナリストがいて、私は相手チームの分析が主担当です。

元々はスポーツ科学の専門家として、大学院でソフトボールのピッチャーの動作分析を研究していました。そんな中、2004年に日本ソフトボール協会から「相手チームの分析をしてくれないか」とお声掛けいただき、アナリストとして日本代表に帯同するようになりました。2009年まで代表チームのアナリストを務め、その後は一度大学に戻り、2011年からデンソーで仕事をしています。

ー長くスポーツの分析に携わっていらっしゃるのですね。映像分析は、ソフトボール界でどのくらい浸透しているのでしょうか?

スポーツ科学の研究は1995年ごろからしていて、アナリストとして活動を始めたのは2004年からになります。当時のソフトボール界では、アナリストは日本代表にしかいない状況でした。

2011年にデンソーに加入したときも、リーグでアナリストがいるチームはデンソーだけという状況でしたが、少しずつその価値や重要性を認識していただいて、今ではJDリーグに所属するほとんどのチームにアナリストという役職が置かれています。

ー具体的にどういった場面でHudlのツールを活用しているのでしょうか?

映像をまとめるときに、『Hudl Sportscode (ハドル スポーツコード)』を活用しています。選手の名前や情報、カウントの状況だけでなく、ホームランなど試合のポイントになるシーンにタグ付けをして、すぐに抜き出せるようにしています。

あとは打球方向やピッチングのコース、球種の割合などをまとめた画像やグラフを選手に共有しています。視覚的に分かりやすい形にすることで、選手たちの理解も深まります。

数字に関しては、協会やリーグの公式記録には載っていない部分に着目します。例えば、キャッチャーの盗塁阻止率。相手キャッチャーの傾向が分かれば、盗塁が有効かどうかを判断することができます。

ライバルチームと連携して映像を共有「良い映像が欲しいという思いは一緒」

ーチームでの分析のほかに、リーグの分析も担当されているとお聞きしました。

JDリーグでは、複数のチーム間で映像やデータを共有できるプラットフォーム『League Exchange』を導入しており、その運用を取りまとめています。昨年(2023年)は5チーム、今年は7チームで運用しています。

ー『League Exchange』を導入するきっかけは何だったのでしょうか?

リーグのチーム数増加にあわせて試合数が増え、分析作業が間に合わないケースが増えてきたことがきっかけです。年間の試合数が一気に100試合近く増えたこともあったのですが、基本的に撮影した映像やコードウィンドウ(分析の詳細)の共有はしておらず、チームが各自で対応していました。

そこで、私から他チームのアナリストに「映像を共有しませんか?」とお声掛けしたのがはじまりです。ただ、具体的な共有方法についてはなかなか良い手段が見つからず苦戦していました。

そんなときに、Hudlさんから『League Exchange』をご紹介いただきました。すべてのチームが同じプラットフォーム上に映像をアップロードして、タグ付けなども共有されるので、私たちの悩みをピンポイントで解決してくれるツールでした。

ー他のチームとの連携を取るのは大変ではなかったですか?

細かな運用ルールに関しては、何度も話し合いを重ねました。もちろんアナリスト間の合意だけでは導入できないので、各チームの部長さんや監督さんに経緯や運用のルールなどを説明をしてご理解いただいています。

最初は練習やオープン戦でテストさせていただき、今ではリーグ戦のスケジュールに映像をアップロードする締め切りなどを組み込むことで、スムーズに運用できています。

私がデンソーで活動をはじめた2012年ごろを思い出すと、当時はSDカードを郵送で送り合っていましたからね(笑)。日曜の試合後に発送して、月曜日に受け取り、動画を取り込んで作業をしていました。今はアップロードからダウンロードまですぐに完了できますし、すごく効率的だと思います。

ーリーグに所属するチーム間の連携することで得られるメリットは大きいですね。

選手たちはグラウンド内で勝敗を争いますが、裏方の私たちまでピリピリする必要はないかなと思っています。良い映像が欲しい、分析を効率化したいという思いは一緒なので、力を合わせていくことが大切です。共有された後に、その映像をどう使うかはチーム次第ですからね。

ー最後に、映像分析ツールの導入を検討している方に向けてメッセージをいただけますでしょうか。

最大のメリットは、選手や監督が求めている映像をリアルタイムに近い形で共有できることです。これまでは試合終了後にスコアブックを見ながら、シーンを一つ一つ拾いあげていましたが、ツールを活用してすぐに抜き出せるというのは、時間短縮という観点で大きなメリットです。

こうした映像分析は実業団では当たり前になってきましたが、高校や大学の現場ではあまり導入が進んでいません。技術向上のためにも映像を見る習慣は大切ですから、ぜひ活用してほしいと思います。

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