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Hudlを使って天皇杯躍進? 筑波大学蹴球部・データ班の勝利を導くシゴト

アマチュアサッカー界における最高峰との呼び声が高い関東大学サッカーリーグの名門・筑波大学蹴球部。今年の天皇杯では茨城県代表として出場し、あと2勝でJクラブへの挑戦権が得られるまで進んでいます(12月10日現在)。

筑波大学蹴球部にはプレーヤー以外の役職が多くあり、それぞれがチームの勝利のために貢献するという特徴があります。その1つが対戦相手の分析をするデータ班。彼らの日々の「分析活動」がチームの勝率を高めていることは言うまでもありません。そして、前述の天皇杯で迎えた“山場”でも彼らの分析がダイレクトに反映されたのだとか…。

データ班に在籍する4年生の内田郁真さん、2年生の梨本健斗さんに分析のルーティーンやHudlが“活きた”裏話についてお話いただきました。

筑波大学蹴球部
関東大学サッカーリーグ1部所属
・使用しているプラン
Hudl Gold(200,000円/年)
Hudl Assist(132,000円/年)
Sportscode, Coda(オープン価格)

※プラン詳細はコチラ

対戦相手のベーシックな分析が24hで終わる

--早速なのですけど、分析班について教えて下さい。
内田
:分析班は2つに別れています。映像分析を担当するアナライズ班とデータを扱うデータ班です。僕はデータ班のみに所属しており、梨本はデータ班とアナライズ班両方に所属しています。基本的にはアナライズ班というのはスカウティング担当。試合よりも前の日に作業して、試合の約2日前ぐらいにそのスカウティング映像を作って、選手の前で発表します。レビューの映像は院生コーチが作っているという感じなんですけど、主な仕事は試合前の映像分析ですね。

--次の対戦相手の映像分析は何試合分見るのでしょうか?
梨本
:今までは自分たちで撮影しに行かなければいけませんでした。予算も考え、行けて直近の2,3試合。ただ、2019年の後期から全大学・全試合の映像をDL(ダウンロード)できるサービスが提供されたので、平均して直近5試合は見ています。

--そこでHudlも活用していると。
梨本:はい。DLした試合のデータを自分たちで見てプレーごとに切り分けて編集して…となるとかなり時間がかかります。Hudl上に試合をアップロードすれば、パスやシュートなど基本的なプレーの場面がタグ付けされて24時間以内に返ってきます。それに加え細かいところに関しては、アナライズ班がフルで見ています。

--アナライズについては1試合につき何人くらいが担当しているのですか?
梨本:1試合1人か2人です。1年生が多く入ってくれたので1年生が2人で、上級生になると1人で全部やります。アナライズ班は対戦相手の分析シートと映像を作るので、2つに分けて作業をしてより精度高いものを作ることを意識しています。

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内田:データ班のは週末に行なわれた試合のデータを試合中と試合とに取っています。試合中はHudlの「コーダ」(下記写真)というアプリを使います。

※コーダはiPadやiPhoneでデータ入力できる補助的アプリケーション。リアルタイムで計測する用。

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内田:例えば空中戦に勝ったとき、カウンターの成功、ファストブレイク…と局面ごとにテンプレートを作って試合中に打ち込み、後からデータをレポートを作成する形です。1人で全てのプレーを打つのは無理なので、分担して行なっています。

--「ファストブレイク」の定義とは。
内田:ディフェンシブサードから10秒以内にアタッキングサードに侵入できたらファストブレイクとしてカウントします。ミドルサードからだと6秒ぐらいで、アタッキングサードだとそもそもショートカウンターとしてに加えています。最終的にファストブレイクがシュートで終わったか、ミスになったか、というところもまとめてデータに落とし込みます。

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工数削減のために「Hudlにしない理由はない」

--かなり突き詰めてやっていますが、Hudlを使うようになった経緯について教えて下さい。
梨本
:映像分析をする中で、精度高く工数削減ができるツールを探していたんです。そして、映像を送るとある程度データをつけて送り返してくれる「Hudl Assist」というプランがあることを知りました。手動でとらなければいけないものを、自動でやってくれると。Hudlにしない理由はない、と思いました(笑)

内田:対戦相手の映像データが全試合分取得できないというのが大きなハードルだったのですが、先程お伝えしたとおり、全大学のデータがDLできるようになった。加えてそのデータをHudl Assistに送ればプレーのタグが付いて返ってくる。例えば対戦相手のその年の全試合のコーナーキックを出したいとき、指定したプレーを続きものの1本の動画としてDLできます。編集するのも、コーチ陣が確認するのも楽です。これが契約の決め手になりました。

--肌感的にどれぐらい効率化されたと思いますか?
内田:今までだったらコーナーキックの映像を作るにしても、90分の試合を見返しながら時間をメモをしてその場面を切り取って、という流れでした。この作業ががなくなっただけでもイベント作りはすごく楽になったと思いますね。

--その分、分析できる試合も増えますよね。
梨本:前期の全10試合を分析する、ということもしていました。また、編集時間の削減以外にも効果があります。Hudl Assistでプレータグ付けをしたデータをHudlのクラウドの中に残しておけば、“ゴール集”や“失点シーン”のようなイベントを選手がスマホのHudlアプリから確認できるんです。テロップを入れて編集したものも、選手やスタッフが視聴できます。

Hudl Assistでは枠内シュートやクロスなど、基本的な動きは取れます。ただ、 “どこから何本ペナルティに進入したか””どこから何本クロスを上げたか”というような細かい部分は取れない。それについては先程お伝えしたコーダを使った算出やHudl Assistで戻ってきた動画データを元にして集計をしています。

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--天皇杯で桐蔭横浜大を倒したときに、かなりここの分析が役に立ったと聞きました。
梨本
:桐蔭横浜大が相手のときに限らないのですが、攻撃時にクロスやコーナーキックをどちらのサイドから上げて誰に合わせるか、という全てのデータを持っていました。関東大学サッカーリーグの公式記録の集計はもちろんですが、Hudlのデータを自動集計して分析できるプログラムを作成して使用しています。

81分の決勝点は分析班の狙い通り?

試合の時は風と雨がすごかったんです。ただ、天気予報を試合前に見たとき、風の向きは時間の経過でも変わらなそうでした。

直近の桐蔭のデータをみたらコーナーキックから点を取ってて、ゴールに向かう方向に蹴ってくる右利きと左利きもキッカーが両方いると。だから、インスイングで蹴らせたくない、風に乗ってゴールに近づけるようなボールを蹴らせたくない、という話をGKコーチと話したんです。その会話の中で「前後半でどっちが多いんだ」という疑問が生まれたので、Hudlのレポートから調べました。すると、後半の方が多いと。だから、前半は風を受ける形になるけど、後半に桐蔭の攻撃を“乗らせ”ないようにしようと。また、僕らも左利きのキッカーを後半から投入する予定だったので、後半は風に乗ってインスイングで蹴れる方が得点の可能性も上がる。そういう理由で、キックオフ時に陣地を変えてあえて向かい風を選びました。

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セットプレーのデータもすぐに取れる


--そこまで考えているんですね…!
梨本
:最終的に、後半に風に乗れる状況で生まれた決勝点が途中交代で入った左利きの遠藤海斗のコーナーキックを井川空が決めたのですが、そのときは本当にHudlのおかげだと思いました(笑)。

--戦い方を決断する時にHudlがかなり役立っていると。
内田
:データがあるから意思決定がすごいスムーズにできるんです。これまでは自分たちで手動で集めなければいけなかったですし、そのプラットフォーム作るのが一番時間がかかるので。

--今みたいに映像が全大学の映像が手に入っても、なかったら自分達で撮影に行って、そのデータを再度見て切り取って編集して…と。過密日程だと負担がとんでもなく大きくなりますね。
内田
:Hudlのようにデータと映像が1つのプラットフォームに集まってると、こちらも引き出しやすくなります。また、引き出しやすくなることで梨本が取り組んでいる発展系のデータを作ることもえきるんです。チームが勝つための“基盤づくり”として必須になっていると思います。

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中央に小井土正亮監督を挟んで。左が内田さん、右が梨本さん。

【了】

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