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マンチェスター・シティの1週間のワークフロー。フィードバックの高速化がキーに

Hudl Japanがプロサッカークラブの関係者に向けて、2時間半にわたって開催したウェビナー「世界から学ぶ」。

元マンチェスター・シティのヘッドアナリストで、現在はHudl社にてカスタマーソリューションチームのディレクターを務めるエドワード・サリー氏が、自身の経験をもとに世界のトレンドとデータ活用について解説しました。今回はそのウェビナーレポートの第3弾をお届けします。

「今日の試合は、明日は勝てない」

高いパフォーマンスを発揮するチームの1週間のワークフローを見ていきます。まずは前節のレビューから始まり、直近の対戦相手のラインナップを確認します。ラインナップの傾向が分かったら、次はどの試合を分析するのかを選定。そして、Wyscout(世界最大のサッカー専門のビデオおよびデータのデータベース)やリーグが提供しているプラットフォームから映像をダウンロードします。もちろん、ワイドアングル(引きの映像)が望ましいです。

試合の5〜6日前には、前節のフィードバックを選手に提供して、さらにスポーツコードで映像にタグを付けていきます。そして、スタッフでミーティングを行ない、全員で気づいたことを共有。メディカルスタッフやコーチングスタッフなど、それぞれのプロフェッショナルの意見をまとめて、監督の意思決定をサポートします。

3〜4日前には、個人やチームの改善点の分析に取り組みます。このタイミングでプレゼンテーションを作成して、1〜2日前のタイミングでフィードバック。試合当日は、今までの分析を総合した上でリアルタイム分析を行ない、監督の指揮をサポートします。

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このトレンドは、近年高いパフォーマンスを発揮しているチームであればあるほど顕著です。「今日の試合は、明日は勝てない」「今日やるしかない」という意識で、リアルタイムのフィードバックを重視しています。

マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、選手との1対1のミーティングを大切にしており、試合前の1週間は毎日、それぞれの選手に対してフィードバックを行なっています。そのため周囲のスタッフは、各選手に必要な映像を毎日のように準備する必要があります。朝6時からクラブハウスに来て、夜の9時〜10時まで仕事をするというのは、よくある光景です。

重要なのは映像の質。昔ながらの少し寄ってしまっているアングルではなく、全体が見えるアングルの映像を用意するのがポイントです。マンチェスター・シティのテクニカルディレクターを務めるチキ・ベギリスタイン氏が就任した2012年、私は同クラブのヘッドアナリストを務めていました。彼は最初のミーティングで「これ以降、すべての映像はワイドアングルでなければいけない」と言っていました。

フィードバックにおいて重要なのは「時間」

スポーツコードのコードウィンドウ(タグ入力、スタッツ出力画面)は、各チームが見たい内容に応じてカスタマイズが可能です。ベンチで見たいもの、ロッカールームで見たいものなどと分けることもできます。試合の3〜4日前には映像を分析して、どのデータを使うのかを選定。グアルディオラ氏は電車の移動中などに、スポーツコードを使ってこの工程を踏んでいます。

1〜2日前には、Hudl ReplayというリアルタイムでiPadに映像を共有できるツールが活躍します。学術的な研究でも明らかにされていますが、フィードバックにおいて「時間」は非常に重要です。いかにその事象が起こってから、いち早く選手にフィードバックできるか。それによって、選手の理解度は大きく変わります。Hudlは、そのプロセスをいかに簡略化して、早く伝えられるかを重視しながら開発しています。

試合当日は、複数のアングルの映像を一台のスポーツコードに取り込んで、タグ付けをしてベンチのiPadなどに送ります。チームには、ゲームモデルから落とし込んだゲームプランがあって、それをどのように達成できているかを評価していきます。

このようなリアルタイムでの分析は、必ずしもベンチやスタンドで行なう必要はありません。ロッカールームでもできますし、最近は新型コロナウイルスの影響でスタジアムに入れる人数が制限されているので、スタジアムの外から分析することのニーズも高まっています。

Hudlではリモートのミーティングにおいて、1人が映像を動かすと、他のデバイスでも同じシーンを見ることができるという機能が登場しました。私たちのプロダクトは、スカウトや分析をメインに活用されていますが、メディカルやスポーツサイエンスの分野にも生かすことができます。

第4弾へ続く

●プロフィール
エドワード サリー (Edward Sulley)
各クラブや団体のニーズに合わせたコンサルティングや分析、システムを提供するHudl社のカスタマソリューションチームのディレクター。
19年間のプロサッカー界での経験を持ち、世界で最も速いスピードで成長している団体の1つであるシティ・フットボール・グループ(CFG)で11年間にわたり7クラブ(マンチェスター、ニューヨーク、メルボルン、横浜、ジローナ、モンテビデオ、成都)と働き、Hudlにジョイン。
CFGでの最後の5年間は日本と中国のクラブにおけるサッカーの戦略の策定と実行を主に担当。
経験や資格はコーチング、パフォーマンス分析、スポーツ科学、メディカル、スカウティング、リクルート、リサーチ、イノベーション、戦略、プロジェクトマネジメント、リーダーシップ、と非常に多岐にわたる。

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