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「インハイの開催地すら知らなかった」。予想を覆す大金星を磐田東にもたらした映像分析。

2022年6月、インターハイ(総体)静岡予選で優勝を果たした磐田東高校サッカー部。準決勝で前年度王者・静岡学園を撃破し注目を集めると、決勝では藤枝明誠に2-0と快勝を収め、実に16大会ぶりとなる本選出場を決めました。

そんな磐田東の躍進を支えたのが、Hudlによる分析です。パスサッカーを志向する彼らは、日頃からボール支配率やパス本数などのデータや試合映像をチームで共有。チームコンセプトの浸透を深めてきました。

チームを率いる山田智章(やまだ・としあき)監督も、Hudlのスタッツレポートに絶大な信頼を置いています。静岡学園との準決勝。3:7というボール支配率を見ると、相手にペースをにぎられた苦しい試合に思われるかもしれません。しかし山田監督は、試合を振り返り、Hudlを活用し積み重ねてきた日々の成果が表れていたと語ります。

果たして、磐田東のHudl活用法とは。導入の経緯から、映像分析がチーム・選手にもたらした変化について伺いました。


詳細なレポートが、分析を助ける

ーまず、Hudlを導入した経緯を教えてください。

山田監督 以前は別のサービスを使っていたのですが、自分たちで動画を見返して、プレーごとにタグ付けをしなければならず、手間がかかっていました。僕らは教員なので、学校の仕事が最優先。時間に余裕がありません。

しかしHudlの場合、僕らはビデオを送るだけで良いんです。数時間後にはシュートやパスのシーンごとにタグ付けをして返してくれて、かつ詳細なスタッツレポートも見ることができます。そういった利便性の高さに加え、リーズナブルな価格にも惹かれて導入させていただきました。機能を考えれば費用対効果はすごく高いです。

ーもともと分析に力を入れていたのですか?

山田監督 いや、そこまで力を入れてはいませんでした。ただ、情報社会となり、高校サッカーにおいてもいろいろなデータを集めて分析しながら戦うことがスタンダードになりました。そういった時代の流れを受けて、僕らも利用させていただこうと。

言葉で伝えるよりも、映像を見返したほうが選手の理解も深まります。ミーティングでは必ず映像を見せながら、フィードバックしています。今はスマホで映像を見ることもできるので、よく彼らも見ていますよ。

ー具体的にどのデータをよく見ているのでしょうか?

山田監督 パスサッカーを志向しているので、ボール支配率や、ゾーンごとの連続パス本数や成功率などを見ています。パスの本数で試合が決まるわけではありませんが、多すぎても少なすぎても上手くいっていない証拠になりますからね。

また、同時に対戦チームのデータも見ることができるので、相手の特徴も分かります。さまざまなスタイルのチームと対戦するなかで、試合ごとにデータを比較するとおもしろい発見がありますよ。詳細なスタッツレポートが、分析を助けています。

ースタッツレポートは、選手も見ることができるのですか?

山田監督 もちろん見ることができます。ボール支配率、ゾーンごとのパス本数、得失点の場面は必ず見せて、あとはトランジションで気になったところを見せたりとか。

ートランジションを見せる、とは?

山田監督 ボールを奪取の場面など、攻守が入れ替わったシーンを見せます。「この奪われ方は良くないね」など、映像を見ながら伝えています。

ー映像を見るようになってから、選手に変化はありますか?

山田監督 多くの選手が、自主的にプレーを振り返るようになったと感じます。ミーティング以外で、僕はHudlの利用を強制しません。あくまで「こういうデータが見れるよ」と紹介しているだけです。誰かに教えられるよりも、自分から学んだほうが絶対に良いですからね。

たくさんの情報を手に入れることができる一方で、それを選手に伝えたり、チームに落とし込む際に、難しさを感じる部分もあるのではないでしょうか?

山田監督 すべてが可視化されるので、言い訳ができないですよね(笑)。あとはとにかく情報が多いので、選手には軸となるチームの指針をシンプルに示してあげるのが大事です。

プレーを振り返るにあたって、どこに焦点を当てればいいか分からなくならないように、一貫して同じことを伝えています。日頃からチームとしての決まり事を意識している分、ゲームの中でも会話が増えています。


日々の映像分析が実を結んだ、静岡学園戦の勝利

インターハイ予選ではどのように活用されましたか?

山田監督 連戦ということもあり、なかなかチームとして振り返る時間を取るのは難しかったです。それでも映像やデータはアップロードして、いつでも選手たちが見れるようにはしていました。

ー静岡学園から勝利を収めた準決勝は注目されましたよね。あの試合のスタッツレポートはご覧になりましたか?

山田監督 ポゼッション率が3:7くらいだったかな。押し込まれた展開のなかで、よく守備をしていたなと思います。ただ、静岡学園のようにドリブルで仕掛けてくるチーム相手だと、こちらも守備体形を整える時間があるので、案外守備がしやすい面もあります。パスで動かされたほうが守備組織を破られる可能性が高い。ある程度、相手の攻撃について予想はできていました。

守備の時間が長かった一方、連続パスの回数が多かったことから、マイボールを大事にしようという意識が見えました。どうしても強いチームとの試合で守備の時間が長くなると、長いボールを蹴って何とか凌ぐ展開になりがちですが、そうではなかった。日頃から映像を使って意識づけしてきたことが、実を結んだのかもしれません。

静岡学園との対戦を経て、選手の様子はいかがですか?

山田監督 かなり自信がついたと思います。誰もが負けると予想していた試合に勝ったわけですからね。僕自身も、まさか勝てるとは思っていませんでした。勝った後に、「インターハイの会場はどこだっけ?」と(笑)。次がどんな相手でも、動揺はすることはありません。むしろ歓迎ムードです。

ー監督自身は現在のチームを、例年と比べてどう評価していますか?

山田監督 まさか優勝するとは思っていなかったですよ。ただ、プリンスリーグ(※)に昇格するだけの力はあると思います。静岡学園との試合で実力差を確認するつもりでしたが、勝つことができました。とにかくリーグ昇格を目指して戦います。

※プリンスリーグ(高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ):U18世代での、2部リーグ相当にあたるリーグ戦。全国9地域で開催される。磐田東高校は現在、県Aリーグ(高円宮杯U-18サッカーリーグ 県Aリーグ)に所属している。

今回お話いただいたメリットをふまえ、どういったチームにHudlの導入を勧めたいですか?

山田監督 それぞれのチームに指導の方針や考え方があるので、どのチームに必要かという基準はありません。ただ、どのチームも映像は撮って見ているはず。そこにHudlの分析が加わることで、強化のヒントをたくさん得られます。自信をもってオススメさせていただきます。


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