映像分析で、より正確な判定を。オーストラリアバスケットボールリーグ審判での活用法
審判の質の高さは、競技が発展するうえで大切な要素のひとつです。映像と正確なデータは、判定を振り返るのに活用できます。
オーストラリアのナショナルバスケットボールリーグ(以下、NBL)では、Hudl Sportscode(以下、スポーツコード)を審判の成長に活かしています。
映像とデータで、具体的に判定を振り返る
スポーツコードのNBL審判団への導入を先導したのは、審判長を務めるスコット・バトラー氏。約5年前から、映像分析に基づいた試合レビューを実施しています。
「国内トップレベルにもなると、審判にルールについて指導することはありません。より正確な判断を下すために何が必要かを考えることが求められます」とバトラー氏は言います。
まずは正しいコール、誤ったコール、誤ったノーコールをコーディングしています。さらに各プレーの種類、関係する選手、クォーターなどの試合情報、プレーが発生した場所、担当審判、チーム、会場などとラベルを付けます。
データは、試合後のレビューコーチングに使用されます。「どういった場面での改善が必要なのかを振り返り、ベンチマークを設定し、経営陣に報告、チームの問い合わせにも根拠をもって対応することができます」。
映像があれば、特定のチームや選手と審判との相性も確認できます。
「たとえば、ある審判が特定のチームの試合での誤審が多かったとします。誤審の映像をまとめて振り返ってみると、特定のプレースタイルにおける見方のくせだったことが判明しました。その審判とは個別に相談し、本質的な解決に至ることができました」。
特定の選手が、有利または不利な判定を異常に受けているのか。特定のプレーによるものなのか、それとも特定の審判によるものなのか。誤審を防ぐために、原因を明確にすることができます。
ホームとアウェー、バイアスをなくす
トップの審判は、観衆の影響を受けない正確な判断力が求められます。スポーツコードを使用することで、NBLではどの程度のバイアスがかかっているのかを調べることができています。
「ホームとアウェイによってバイアスがかかることを示唆する、さまざまな研究があります。審判は無意識かもしれませんが、実際どの程度のバイアスがかかっているのか把握することは重要だと考えています」とバトラー氏は言います。「現在、NBLではほとんど気にならなくなっています。分析に基づいて、審判に適切なコーチングの機会を設けています」。
「測定できるものは、改善できるんです。データを使用して原因を特定し、より良い判断に繋げられるように審判員へフィードバックしています」。審判の主観とも捉えられる判断を客観的に振り返ることは、審判やチームを守ることにも繋がっています。
「実際のプレーの展開は非常に速いです。爪先数個ぶんで判定が変わるプレーを、インスタントリプレイで速度を落としてスポーツコードで見ることができます。映像分析を使用して強化できるところは変えていくべきです。100%正確であることは不可能ですが...」。
審判のパフォーマンスを客観的に振り返り、データに基づいて判断を改善していくことは、どのスポーツにおいても必要な要素だといえます。選手同様、審判における映像分析も今後必要になってくるのではないでしょうか。