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2022 年に注目された 4 つの戦術的なトレンド

2022年はサッカー界にとって記憶に残る新たな 1 年でした。ここで、2022 年の主な戦術トレンドについて振り返ってみましょう。

高まるセットプレーの重要性

紙一重の差で多くの試合が決まる中で、セットプレーの重要性はより決定的なものになりつつあります。セットプレーの成功が勝敗を左右するからです。

コーナーキックやPK、アタッキングサード内のフリーキックなどは、試合の流れを変える重要なシナリオになり得ます。チームがセットプレーのメカニズムや対戦相手の分析、練習でのルーティンの完成度を高めることに重点を置くようになったため、当然のことながらセットプレーへの注目度が高まっています。

ウニオン・ベルリンが異なる高さと長さのクロスボールを蹴ることで相手のジレンマを引き起こす
チャンスを作る最高のセットプレー

その結果、今や戦略とルーティンは極めて高いレベルに達しています。アーセナルやマンチェスター・シティ、トッテナム・ホットスパー、リーズ・ユナイテッド、リバプールなどは、洗練され、卓越した指導を受け、巧みに実行をしている点において、称賛すべきところがたくさんあります。

巧みなセットプレールーティンによるファーポストを活用したゴール
チャンスを作る絶妙なカーブボールのセットプレー

「16 年前に記録を開始して以来、コーナーキックからの得点の割合が最高に達しています。今シーズンは全 419 ゴールのうち 64 ゴールがコーナーキックによるものでした」と、エイドリアン・クラークは、プレミアリーグの公式サイトで解説しています。

「現在の割合が継続すれば、シーズンの終わりには 167 の「コーナーキック・ゴール」が記録され、2010/11シーズンに記録されたこれまでの最高記録 151 ゴールを超えます。」

確かに、ユーロ 2020 を振り返ってみると全得点のうち 27% がセットプレーによるものです。このプレーの価値が高まり、最大限生かすよう求められるのも当然です。

多くのクラブチームがセットプレー専門家を雇用し始めており、この部分における戦略の完成度を高めていくことで、さらなるチームの強化も期待されています。

組織的な裏への動き出し

注目すべき興味深いトレンドがあります。それは、複数の選手をDFラインの裏へと同時に連携して走らせ、バックラインを混乱させて、ゴールへ突き進むチャンスを広げているチームが増えていることです。

3 人の選手が同時に後方から現れる
巧みに組織化された裏へのラン

特に秀逸な例に、フェイエノールトのコーチ、アルネ・スロットが前シーズンの UEFA ヨーロッパカンファレンスリーグの決勝で見せたものがあります。

スロットのコーチングで特筆すべきは、彼のチームが相手の後方から素晴らしいランを展開する方法で、見ていて楽しいものです。

サイドバックをおびき出した時に、チャンネルの空いた空間を利用して巧妙に立ち回り、センターバックとサイドバックの背後のスペースをつきます。彼らはボールを持った選手が利き足でパスを供給できる状態になった、その、正確なタイミングで走ります。

彼のコーチングにより、彼のチームは相手選手の連携を断ち切り、切り込んでいくのが上手く、スルーパスを受ける可能性が高くなります。

ディフェンス陣をより混乱させるために、どのように逆の動きをし、どこで戻って相手を引きつけ、別の選手が空いた空間に攻撃を仕掛けるか。これが彼らの良さを高めています。

背後にスペースを作り出す逆の動き

さらに、うまく相手の動きを封じ、攻撃する方法を熟知し、ディフェンスの前後にいるチームメイトに空間を生み出すために鋭いローテーションを実行することで、相手をさらなる窮地に追い込みます。

この同時の組織的ランが非常に狭い範囲で行われることも見事です。これによりディフェンダーは仕事がしづらくなり、ミスを起こしやすくなり、いとも簡単に操られてしまいます。

猛スピードで、特にハイラインに大打撃をあたえるこの動きは見ていてスリリングです。うまく行けばこれが強力な武器になることは明らかです。

カウンタープレスとレストディフェンス

間違いなく、今日の試合でカウンタープレスとレストディフェンスは、試合を左右する重要な役割を果たしています。多くのチームが採用し、チャンスを生み出すのに素晴らしく効果的な手法であると証明しています。興味深いことに、多くの監督が組織化された配置からボールを奪われた直後、即座にカウンタープレスをするよう指示しています。高い位置でボールを奪い返して、カウンターに向かおうとばらばらになったディフェンスラインに対して再度攻撃を仕掛けるのです。

攻撃的で組織だったカウンタープレスによってボールを素早く取り戻す
激しいカウンタープレスによってゴール前にボールを取り戻す

ボール保持者にすぐさま近くの選手が群がり、パスコースをブロックするので、上手く実行すればこれほどの武器はありません。「どんな司令塔の選手も、良いカウンタープレスには適いません。それほどまでに重要なのです。」これは、伝説的なリバプールの監督ユルゲン・クロップの有名な言葉です。

「10番を背負った選手が天才的なパスを出せる位置でボールを持つために必要なパスの本数を考えてみてください。カウンタープレスによって、よりゴール近くでボールを取り戻すことができます。そうすれば、ゴールのチャンスまでパス1本です。」

忘れてならないことは、試合の強度が上がりスピーディになるにつれ、監督が微調整のために選手に働きかけられるのは最小の時間に限られるため、本質的に実践がより難しくなるということです。

さらに、これに必要な体力と引き起こされる疲労を考慮して、多くの監督がカウンタープレスを控えることがあります。選手の疲労を恐れてのことです。

しかしながら、多くのカウンターを受けなくてよいだけでなく質の高いチャンスを増やせるため、バイエルン・ミュンヘンやバルセロナ、リバプール、マンチェスター・シティ、アーセナルに代表されるように、カウンタープレスをうまくコーディネートできるチームは他より優位です。

5 バックがメリットとなる下位チーム

奪うことが並外れて難しい。あまり有名でないいくつかのチームが 5 / 3 バックで頭角を現し成功したことは 2022 年のハイライトでした。

昨シーズンのヨーロッパ・リーグで信じられない勝利をおさめたウニオン・ベルリン、RC ランス、ブレントフォード、ウディネーゼ、アイントラハト・フランクフルトといったチームは、このフォーメーションで統制と集中、決断力を持ってプレイすることがいかに効果的であるかを証明してきました。

この手ごわいフォーメーションと長所を組み合わせて、相手をこの上なくやりづらくさせることに長けたこれらのチームが、オッズと予想を裏切ってきたことには興味をそそられました。

うまく連携して相手をマークするランスのプレス。同時にソトカが、フィールド内のパスラインをブロックするためにカバーシャドウを利用している方法に注目

通常は見ていてそれほど興奮するゲームを展開するチームではないものの、彼らが自身の主義に忠実に長所を最大限に生かしながら、勝負をするだけでなく、まったく勝ち目のなさそうな相手に勝利することは、文句なしに賞賛に値します。

ミッドフィルダーがライン間のスペースを利用できるランスの巧みな 3-2-4-1 フォーメーション
近くにいるジョーダンにボールを回す選択肢がある、ウニオン・ベルリンの卓越したセカンドボールのフォーメーション

「静かに何ができるかという点でウニオンは模範的です。ストレスも慌ただしさもなく、チームワークは良好で、名前だけではなく選手のプロフィールに基づいた優れたスカウトを行っています。実に一流のやり方です。」ドイツのレジェンド、ローター・マテウスは、ブンデスリーガで信じられないことに何週もの間首位についたウニオン・ベルリンの快進撃をこう解説しました。

「彼らは自分たちのことがわかっており、しっかりと地に足をつけたチームだ。プロらしく賢明な仕事をしている。」

安定したディフェンスとコンパクトさのバランスを見極め、カウンターでの縦の動きと粘り強いボールキープを攻撃のゲームプランに組み込む。これらの快進撃を続けるチームがこの勢いを 2023 年にも継続できるか、気になるところです。

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