育成でも、トップレベルの分析環境。ブロムリーFCがHudlをフル活用する理由
サッカー・イングランド ナショナルリーグ(5部相当)に所属するブロムリーFCでは、プロチームも羨むようなデータ分析体制が整えられています。同クラブはEFLリーグ1(イングランド3部相当)への昇格を目指し、スポンサーから多額の投資を受けているチームです。
ドローンやPTZカメラ(遠隔操作でカメラの首振りを制御できるカメラ)を駆使した練習映像の撮影、Hudl Sportscodeを活用した分析、Wyscoutからリクルーティング用のデータと映像提供......まさにトップレベルの環境となっています。
※Hudl Sportscodeについて:試合中のリアルタイム入力、分析コードウィンドウのカスタマイズ、プレイリスト作成などができる分析ツールです。
※Wyscoutについて:400以上のリーグの映像とスタッツのサッカーデータベース。選手のスカウティングから、現場でのチーム分析まで、様々なニーズに答えます。
さらに珍しいのが、トップチームとアカデミーで同じツールを活用していること。今回は、ブロムリーFCのデータ分析について、ヘッド・アナリストのStuart McFadyen氏とアカデミーの分析を担当するRonan Howard氏にお聞きしました。
練習、試合中、試合後。全てにHudlのツールを活用
McFadyen氏にとって、Hudlのツールは日々の分析に欠かせないものです。練習の振り返り、対戦相手の分析、リアルタイム分析と数多くの場面で活用しています。
練習時はフィールド横の撮影台、もしくはゴール裏から撮影。練習後にコーチらが映像を確認し、振り返りたい場面があれば選手やチームへ共有しています。
スカウティングも、重要な分析のひとつです。映像を通じて、対戦相手のフォーメーションや、攻撃と守備の特徴を見出しています。McFadyen氏「特に試合後の分析は、自チームと対戦相手ともに深く行ないますね」
スカウトに頼らない、数値を元にした選手獲得
Wyscoutは、主にリクルーティングに用いられています。McFadyen氏が主戦場とする分野です。
McFadyen氏「導入する前と比べて、獲得する選手の検討はかなりやりやすくなりました」スカウトの目に頼りきるのではなく、データから選手について把握できています。
目をつけた選手のゴールやアシストシーンなどを抜き出し、どんな選手かを把握。
「(マネージャーが映像を元に上層部へプレゼンできるよう)、獲得したい選手のベストプレーを切り抜いた3、4分の映像を渡しています」
選手の映像が入手できるだけでなく、データベースとして活用できるのもWyscoutの強みです。数値を元に選手の実力を測ることができます。
「2人のストライカーについて、10個スタッツを比べ、どちらを獲得するか議論したこともあります。
各選手の直近4シーズンのスタッツを全て並べて、比較することもできるんです。出場時間、ゴール数やアシスト数、身長や年齢などを見ながら、ブロムリーに入ったらどのような価値を発揮してくれるのかを考えることができます」
アカデミーでも、トップチームさながらの映像分析を実施
ブロムリーFCでは、アカデミー(U18、U23)でもトップチーム同様の分析を行なっています。Howard氏「トップチームや、上位リーグで通用する選手作りを目指しています」
アカデミーでも週に一度ドローンが用いられ、練習を撮影。
「ボールを持っている時と持っていない時それぞれで、自チームのプレーパターンが視覚的に把握しやすいです。選手に見せる映像を抜き出し、ミーティングでフィードバックします」
試合後のミーティングで、選手に映像を見せる際も工夫しています。「チームのフォーメーションを明確にするために線で結んだり、空いているスペースを四角で囲ったり。選手が気づいていない部分を見えやすくしています」
「Hudlがあれば、分析に関わる全ての作業がひとつでできるので、素早く仕事をすることができます。迷っているクラブ関係者の方がいたら、ぜひ取り入れていただきたいですね」
<参考記事/写真出典>