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インカレ優勝を決定づけた、当日朝の戦術変更。白鷗大男子バスケ部の映像分析

<トップ写真提供 白鷗大学>


2021年12月、全日本大学バスケットボール選手権大会(以下、インカレ)で初優勝を果たした白鷗大学(栃木)男子バスケットボール部。

チームの勝利を支えているのが、ハドルスポーツコードによる映像分析です。インカレ決勝では、対戦相手の試合映像を見て、当日朝に一部の戦術を変更。チームを率いる網野友雄 (あみの・ともお) 監督は、「映像がなければ、あの判断は下せなかった」と振り返ります。

網野監督と共にチームの分析を担うのが、学生コーチの野口拓哉 (のぐち・たくや) さんと高堂信之介 (たかどう・しんのすけ) さん。映像の活用法やチームの変化、インカレ決勝時の分析について伺いました。

2021年、インカレ優勝時
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チームを率いる網野監督は、元プロバスケ選手
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映像が裏付けた、当日の戦術変更

ーチーム内で、どのようにハドルスポーツコードを使用されているのか教えてください。

網野監督 学生コーチの野口拓哉と高堂信之介が、ハドルスポーツコードを使った分析を担当してくれています。映像の編集は頼りきりですね(笑)。僕が練習中に気になったことをコーチの二人へ伝えて、映像を抽出してもらっています。

二人なりに気になったシーンがあれば、それも共有してもらい、選手に何を伝えるかすり合わせています。毎回練習前に、取り出した映像を選手に見せながら説明しています。

映像は、嘘をつきません。客観的に自分を見て振り返ることで、選手も納得させられます。スローモーションにして、細かいところまで明確に見返すようにしていますね。

ー対戦相手の分析もしているのでしょうか?

網野監督 もちろんしています。試合前もギリギリまで対戦相手の映像を見ていますし、試合中も確認しています。

ー「映像が活きた」と感じた瞬間はありましたか?

網野監督 インカレの決勝戦は印象的でしたね。実は試合当日の朝、オフェンスで使うセットプレーのフロアバランス(プレーヤーの配置※)を変更したんです。
※フロアバランス:セットオフェンスや遅攻の際の、ハーフコート内での5人が位置するバランスのこと

前日に対戦が確定した相手は東海大。インカレ期間中、大東文化大や中央大とロースコアの接戦を繰り広げていました。点数を取られているのはどういった場面なのか、映像を見て徹底的に分析しました。すると特徴が見えてきて、「フロアバランスを大東文化大や中央大に近いものに変えたほうが有利ではないか」と。

ー試合中も映像を使っているとおっしゃっていましたが、リアルタイムでどのように映像を見ているのでしょうか?

網野監督 試合中も、振り返るポイントは普段と変わりません。相手の攻め方と守り方、それに対する自分たちの状況を見ています。決勝戦では、朝変更したセットプレーの確認を重点的にしていました。試合中も客観的に振り返ったことで、後半の修正に結びつけられたと思います。

前半は、変更したセットプレーが思うように機能しませんでした。選手は頭の中では理解していても、なかなか上手く展開できていませんでしたね。後半にかけて、新しいフロアバランスを活かして、空いた選手が得点できるようになりました。映像がなければ、あの判断は下せなかったですね。

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映像があるから、新たな発見がある

ー続いて、学生コーチのお二人にお聞きします。選手ではなく、学生コーチとしてチームを支えようと思ったきっかけを教えてください。

野口 中学生まで、宇都宮ブレックスのユースチームでプレーしていました。当時のコーチの指導で成長することができた経験から、指導に興味を持ち始めたんです。大学以降は、指導者かトレーナーとしてバスケに関わりたいと思っていました。

学生コーチになったきっかけは、網野監督からお声がけいただいたことです。どうバスケに関わっていくか悩んでいるとき、ユースチームを通じてご紹介いただき「学生コーチをやってみないか?」と。今は、4年間で網野監督から学ぼうと必死ですね。

高堂 父がバスケのコーチをしていて、その姿を見て自分も指導者になりたいと思うようになりました。高校の先生が網野監督を紹介してくださって、今に至っています。

ー学生コーチとして、具体的にどういったことをされているのですか?

野口 ハドルスポーツコードを使った映像の整理と分析がメインです。網野監督が求めている映像の切り抜きに加えて、自分なりに考えて戦術を提案しています。特にシーズン中は、対戦相手のスカウティングも重要な役割のひとつです。

ーやりがいや楽しさを感じる瞬間は?

野口 映像を通じて新たな発見があることですね。自分の目で見た時と映像を見た時で、全く違う気づきを得ることがあるんです。あとは、プレーごとに動画をまとめていくと明確に共通点が見えてきます。

高堂 網野監督や野口をはじめ、いろんな視点に触れつつ考えられるのが楽しいです。その上で自分の考えを共有して活かせる環境なので、恵まれているなと。

ー逆に、分析を進めていく中で難しいと感じていることはありますか?

野口 選手とのコミュニケーションの取り方です。同年代でも選手の方がバスケ歴が長いので、どうしても気を遣ってしまいます。選手が考えていることと、自分が伝えたいことでギャップを感じることも少なくありません。伝え方を工夫して、選手の考えも吸収しつつ、分析をもとに提案できるようになりたいです。日々の選手とのすり合わせが重要だと感じています。

ー将来、どのようにバスケ界に関わっていきたいですか?

野口 Bリーグで活躍できるコーチになりたいです。

高堂 僕も同じですね。

網野監督 「機会があれば、北の果てでも南の果てでも行く」ぐらいの覚悟を持って頑張ってほしいです。チャンスを逃さないことが、スポーツ界に入るには重要だと感じています。


映像は、客観的な指標になる

ー新しくバージョンアップしたと思いますが、使ってみて、いかがですか?

高堂 編集がとても楽になりましたね。

野口 ムービーを作る時、変換ソフトを使わずにパッケージが作成できるようになりました。おかげで作業時間が半分くらいに短縮されています。

ー日本では、アマチュアレベルで分析を取り入れているチームはまだまだ少ないです。あらためて、分析を取り入れるメリットについてどのように捉えられていますか?

網野監督 「何に力を入れるべきなのか」が、スタッフも選手もわかりやすくなるんです。自分は何ができていて何ができていないのか、映像を通じて客観的に振り返ることができます。対戦相手の得意不得意も見られるので、その時々に応じてとるべき対策が明確になります。

ー突き詰めれば突き詰めるほど、奥深いですよね。

網野監督 そうなんです。だからこそ、分析しすぎるのもよくないと感じています。試合では、相手が分析していたこととは異なる戦術をとってくることも少なくありません。ある程度過去の傾向を頭に入れつつ、イレギュラーな事態に対する心構えも鍛えておく必要があります。

映像を通じて自分たちの現在地を把握しつつ、試合では臨機応変に対応していきたいですね。上手くハドルスポーツコードを活用して、これからも取り組んでいきたいと思っています。

<写真提供 白鷗大学>




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