映像と数値から、日本一へ。“明大ラグビー”を作る学生アナリスト班の思い
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映像と数値から、日本一へ。“明大ラグビー”を作る学生アナリスト班の思い

2018年以来となる悲願の全国大学ラグビーフットボール選手権大会(大学選手権)優勝へ向けて、新たに一歩踏み出した大学ラグビーの強豪校・明治大学体育会ラグビー部。その一役を担っているのが学生アナリスト班です。

“明大ラグビー”を戦術から支える彼らは、映像や数値とどのように向き合っているのでしょうか?また、選手から転向しアナリストを志望した背景や分析への思いとは?

<今回取材した部員>
明治大学体育会ラグビー部 学生アナリスト
・丸山 竜平
4年生。小学校3年生から高校3年生までは選手、大学からアナリストへ転向。最高学年としてアナリスト班を引っ張る存在。
・坂下 航亮
2年生。高校はラグビー部に選手として所属。1年次はコーチとして活動し、2年次よりアナリストへ。コーチとしての経験を活かしつつ、アナリストに求められるものを日々を考え実行中。
・南雲 憲太朗
1年生。高校時代、ラグビー部の遠征先でアナリストという役職に出会い大学で転向。ひとつずつできることを増やそうと分析と向き合っている。

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相手の弱みから逆算し、選手と作る“明大流”映像分析

丸山:映像分析では、「何をどう見るのか」という視点の軸が重要だと思っています。明治大学ラグビー部の分析において重要視しているのは、「相手の弱点をいかに探すか」ということです。

だいたい直近3試合を突き詰めて見るのですが、まずは1周試合をざっと見てから、オフェンス・ディフェンスそれぞれに注目してもう1周ずつ見ます。その上でスポーツコードを使って、プレーごとにタグ付けして切り取ったものを細かく見ていきます。

相手チームがどこでトライを取られているのか、どこでオフェンスに抜かれているのか。プレーごとにまとめて見ると「この選手の、この瞬間のスピードが遅いからだ」などと傾向が把握できます。相手の弱みを掴むことが、戦術を考える上で不可欠だと感じています。プレーごとにまとめるのに、スポーツコードはとても役立っていますね。

他にも、サインプレーはよく見ています。シーズンが変わっても同じサインを使うチームは結構あるので、相手の手札に何があるのか映像から情報を集めています。特に選手の入れ替わりがない場合は試合での使い所も似ていることがあるので、アンテナを張っているところです。

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丸山:基本的には、学生アナリスト4人で映像分析から戦術考案まで行なっています。まずは分析班として話し合い、戦術をまとめます。その上でコーチ陣からフィードバックをいただき、ブラッシュアップしたものを選手へプレゼン形式で共有するんです。映像を使いながら、相手チームの弱点と選手個人の弱み、対する明大の戦術を伝えます。

一方通行のコミュニケーションにならないよう、選手の意見を取り入れることにも力を入れ始めました。昨年度からの取り組みとして、選手のみでもミーティングを実施し分析を出してもらっています。選手の分析とアナリストの分析を見比べて、照合性を確かめるイメージです。

選手ならではの視点に気付かされることは多いですね。選手からは思った以上に「相手がこの場面でこういう特徴があるから、こういうプレーがしてみたい」という意見が出ることも多くて。ここ数年は、選手のアイデアを今まで以上に取り入れられてきたと感じています。


丸山:もちろん、自分たちの試合分析も欠かせません。試合が終わると、すぐに自チームの映像とスタッツを見て反省点を洗い出しています。次の試合に向けてのミーティングは別日に実施していて、それぞれ分けて行なっています。

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アナリストの役割は「徹底的に数値にこだわる」こと

丸山:私がアナリストになったきっかけは、入学前にたまたま読んだラグビー部ホームページのスタッフ紹介の記事でした。それまでは、「アナリスト」という役職自体知らなかったです。

父が明大の出身で、幼い頃から明大ラグビー部の試合を見る機会が多くて。ずっと憧れのチームでしたね。どうしても明大ラグビー部に入りたくて一浪したんです。無事入学したものの、選手としてやっていくのは厳しいと感じました。どうにか他に関わる方法がないか考えていた時に出会ったのが、アナリストという選択肢でした。

ラグビー界では、高校レベルより下で映像分析に取り組んでいるチームはかなり少ないのが現状です。私はスクラムハーフというポジションでゲームを組み立てる立場だったので、戦術が大事なスポーツだとは思っていました。でもここまで映像を見て分析するのは、明大に来て初めて体験したことでした。

坂下:高校時代、身体能力では勝てないなと感じることが多かったんです。だから、より競技のことを理解して頭脳面で勝負したいと思ったのが分析に興味を持ったきっかけでした。

高校卒業後、アナリストについて知りました。選手よりも向いているだろうなと思い入部を決めました。

南雲:私は高校2年生の時、たまたま遠征先で学生アナリストの方に出会いました。自分のチームは選手がビデオを撮っていたのですが、相手チームはスタッフの方が撮っていて。話したら、アナリストだと。ちょうどチームでも戦術について考えるようになり面白いと感じていて、大学ではアナリストとしてやっていきたいと考えるようになりました。

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寮内で、分析をする様子
(※撮影時のみ、マスクを外させていただいております)


坂下:昨年1年間はコーチとして活動していたんです。コーチとアナリストの連携は、戦術を作っていく上でとても重要だと感じています。

2つの役職で何が違うのかというと、徹底的に数値にこだわるのがアナリストかなと。映像を見るとき、コーチはその日に注力していたことにフォーカスして主観的に振り返ることが多いです。対してアナリストは数値を交えて客観的に見て、何ができていてできていなかったのかを正確に抽出する立場だと思っています。

コーチは自分の感覚を持っている方が多いです。対照的に、数字を集めて主観なしに評価をするのがアナリストの役割。コーチにはない視点を補い、しっかりコミュニケーションをとって連携していくことが求められていると感じています。


部員全員で映像や数値と向き合い、日本一へ

丸山:アナリストをしていて一番嬉しいのは、やっぱり勝った時ですね。表舞台に立つことはありませんが、チームの一員として戦術を考え勝利に貢献できる喜びは格別です。

坂下:自分が分析して予測していたことが、実際に試合で起きたことがありました。そのための戦術も用意していて、相手を上回れている試合を見た時はとても嬉しかったですね。

丸山:特に4年目を迎えて思うのは、選手も映像や数値を気にするようになってきたなと。選手と一緒に“明大ラグビー”を作っていけているなと実感しています。

試合動画の再生回数も上がっていて、選手個人でも映像を見てくれています。スタッツは寮の玄関に貼り出すようにしていて、自然と数値を見る習慣ができてきたと思います。ある分野で数値が低かった選手が、そこを強化して順位を上げている姿を見ると意識しているんだなと感じますね。

丸山:今年は、ラグビーの戦術を大きく左右するルール変更があります。今はキックのプレーで蹴ったボールが再びマイボールになることはありませんが、新ルールではマイボールになるシチュエーションが出てくるんです。

ラグビーではしばしばルール変更がありますが、これまで経験してきた中で一番大きな変更です。おそらくチームによってはアタックの組み立てを変えるチームが出てくると思います。準備できるところは抜けなく準備して、大学生活最後のシーズンを勝って締めくくれるようにしたいですね。

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