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清水東高校サッカー部が示す、生徒主導のHudl活用法「課題と向き合う良い機会になる」

映像分析ツール『Hudl(ハドル)』は、試合動画をアップロードするだけで、24時間以内にスタッツ集計やタグ付けなど詳細なデータ分析を代行。世界中のスポーツチームで映像分析の一翼を担っています。

元日本代表の高原直泰さんや内田篤人さんら、多くのプロ選手を輩出している清水東高校サッカー部は、試合だけでなく練習からHudlを活用。生徒の自主性を大切にし、選手自身が分析作業を行なっているといいます。

時代の変化にあわせ育成年代にも浸透しはじめている映像分析。Hudlを導入するメリットについて、コーチの伊藤仰津紀(いとう・あつき)さんと学生アナリストの福田新太(ふくだ・あらた)さんに伺いました。

言葉では伝わらない動きを「映像」で提示する

ーまずは、清水東高校サッカー部がどのようにHudlを使っているのか教えてください。

伊藤:基本的には練習を撮影してHudlにアップロード、タグ付けなどの作業をしたあとに気になった点を選手にフィードバックをするという流れです。

ー動画はどなたが撮影しているのですか?

伊藤:主に福田が担当しています。私が夜間の定時制クラスの職員ということもあり、そもそも練習に参加することが難しいんです。Hudlにアップロードされた映像を見て、選手が練習に向かう前までにフィードバックするという形をとっています。

ー試合ではなく練習の映像にタグ付けをするのは、めずらしいですね。

伊藤:タグ付けした動画は選手の名前やタイトルごとに保管することができるので、翌日すぐに取り出せて助かっています。映像を見るだけでなく、シンプルな操作で切り取ることができるのもありがたいですね。

タグ付けの手順としては、まずは画面の右側にあるボタンをクリックして自動的に7秒の動画を切り出して、そのあとに自分で長さを調節したり、情報を書き足したりしています。それぞれタイトルもつけているのですが、そのときの直感で入力しているので独り言のようなものが並んでいます(笑)。

ーHudlを使って映像分析をするときに工夫していることはありますか?

伊藤:いかに戦術を落とし込めるかを意識しています。基本的には現地で指導するコーチに共有して落とし込んでもらうのですが、選手が見ても飽きないようにYouTuberっぽく編集したこともありました(笑)。

ー映像を用いることによって、選手の理解も進みますよね。

伊藤:「ダイアゴナルラン」や「プルアウェイ」など、聞いたことはあっても実際どんな動きをすればいいのか分からないという選手は多いですからね。とくに清水東が大事にしているのが「ポケット」というキーワードです。ペナルティエリアの空いたスペース「ポケット」へのランニングを植え付けるために、映像を共有するようにしています。

チームに欠かせない学生アナリストの存在

ー福田さんはいつから分析に興味を持ちはじめたのですか?

福田:本格的に分析をはじめたのは高校に入ってからです。小中学生のときは選手としてプレーしていましたが、その頃から戦術には興味がありました。将来は指導者になりたいと考えていたなかで、中学時代の顧問の先生から「それなら清水東がいいんじゃないか」とアドバイスをもらい進学を決めました。

ー選手を続けたいという思いは?

福田:どちらかといえば友だちと楽しくボール蹴っているくらいのほうが好きなので、選手としてレベルの高い環境で続けたいとはあまり思わなかったです。

ー練習の動画撮影のほかに、どのような役割を担っているのでしょうか?

福田:撮影した映像の切り抜きを担当しています。まずは得失点のシーン、必要があれば他のシーンもまとめます。普段の学校生活に戻れば選手とも友だち同士の関係なので、休み時間に気軽にサッカーの話をすることができます。そういったときもHudlがあれば、説明がしやすいですね。

伊藤:得失点のシーンをまとめてくれるのはありがたいです。試合に帯同できないコーチもいるのですが、福田がまとめてくれた映像だけは全員が見るようにしています。

福田:選手たちもテスト期間に入るとゆっくり映像を見ている時間はありません。そんなときでも最低限の映像は見てもらえるように準備をしています。

伊藤:実は、福田が中心となって動いている分析チームがあるんです。ビルドアップやロングボールなど、特定のシーンを選手たちが分担して切り取ります。選手自身が作業することで、プレーを振り返る良い機会になっていると思います。

福田:「選手主導で活動してほしい」という斎藤賢二さん(清水東高校OB/ゼネラルマネージャー)の意向のもと、この分析チームが誕生しました。トップチームとセカンドチームから選ばれた合計15名で活動していて、僕から切り取ってほしいシーンの指示を出しています。

伊藤:学校の方針で2年生以上は一人一台パソコンを持っています。そういった背景もあって、それぞれのデバイスからアクセスできるHudlの強みを活かすことができていると思います。

ー高校生でここまでチームの分析に携わっているのはすごいですね。

伊藤:最初は指導者から求められる情報を理解する必要があったので大変だったと思います。ただ、今はとくに指示を出さなくてもクオリティの高い資料をつくれるようになりました。言葉の選び方も似てきたように感じます。

あとは、夏の遠征で交流した大学生アナリストの存在も大きいと思います。筑波大学蹴球部の梨本(健斗)というアナリストを紹介したのですが、すごく良い刺激になったようで、より分析にのめり込むようになりました。

私は大学院生のときに筑波大学蹴球部のコーチとして活動していて、梨本とは2年間いっしょに分析を担当していたんです。良い繋がりが生まれてよかったですね。福田の進路についても私よりも先に相談に乗っていたようです(笑)。

<過去に取材した筑波大学蹴球部の記事はこちら>

ー梨本さんとはどんな話をしたのですか?

福田:スカウティングをするときに意識していることなどを聞きました。分析に特化したお話を聞くことができて、それからはアナリストとして活動したいという思いが強くなりました。

ー伊藤さんは大学院時代にコーチとしても活動していたとのことですが、どういった役割を担っていたのでしょうか?

伊藤:トップチームのコーチとセカンドチームの監督を兼任していました。これまででいちばん忙しかった時期でしたが、いい経験になりました。当時からHudlは使っていて、そのとき作成した映像を清水東の学生たちに見せることもありますよ。

ー福田さんは本格的に分析をはじめて、サッカーの見方に変化はありましたか?

福田:たくさんの選手とコミュニケーションをとる機会が増えたので、より選手目線に立って考えるようになりました。上から見ているのと、実際にプレーしている選手の感覚は全然違いますからね。指摘をするというよりは、選手に寄り添ったアドバイスができるようになったと思います。

伊藤:本人は謙遜していますけど、入学当初からプレゼン能力は高かったですよ。この前も教室を貸し切って選手にデータの見方の説明をしたり、選手権の前には自分で対戦相手の試合を撮影してきたり、僕が知らないところで主体性を持って活動しています。もうひとり1年生の分析担当がいるのですが、福田のそういった姿を見て育っていくのだろうなと思います。先駆けとなる存在ですね。

Hudlの導入は、選手の未来に繋がる

ーHudlを導入してから選手やチームに変化は感じますか?

伊藤:建設的な意見交換ができるようになりました。映像を見ながら「このシーンは覚えている?」と確かめるので、こちらから一方的に指示を出すことがなくなります。より高いレベルのチームになるために、今後は選手たちが自発的にHudlを活用するようになってほしいと思っています。

福田:昨シーズンは前期のデータをまとめたうえで、選手たち自身が後期に向けた課題を考えましたね。

伊藤:時間ごとの得失点や得点までの形にすごく偏りがあると気づき、具体的な数値や目標を立てて取り組みましたね。Hudlではデータを集計する試合も簡単に選択できるので、公式戦だけをピックアップするなど課題も見つけやすかったです。

ー最後に、Hudlを導入しようと考えているチームの方へのメッセージをお願いします。

伊藤:視覚から得られる情報は、選手にとってすごく重要です。誰でも気軽に映像をチェックできますし、監督やコーチの指示を聞くだけではなくなるので、選手はより明確に課題と向き合うことができます。指導者の方には選手の未来のためにも導入してほしいですね。チームに劇的な変化があるかもしれません。

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